不動産投資を始めると、最初に目に入るのが「利回り」です。
利回り10%、12%、15%。数字だけ見ると、なんだかすごく儲かりそうに見えますよね。
でも、お金ののびしろ部では、ここを最初の落とし穴だと考えています。なぜなら、利回りはあくまで物件を見るための入口であって、あなたの手元に残るお金そのものではないからです。
この記事の答えはシンプルです。表面利回りで候補を探し、実質利回りで物件の稼ぐ力を見て、返済後キャッシュフローで持ち続けられるかを判断する。最後にROIで自己資金の働き方を比べる。この順番なら、数字を混ぜずに判断できます。

表面利回りは「ざっくり入口」
表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割った数字です。
たとえば、年間家賃が120万円、物件価格が1,500万円なら、表面利回りは8%です。
ただし、この数字には管理費、修繕費、固定資産税、空室、広告費、ローン返済などが入っていません。つまり、かなりきれいに見える数字です。
表面利回りが高い物件ほど良い、とは限りません。高い理由が「築古だから」「駅から遠いから」「空室が長いから」「大きな修繕が近いから」なら、むしろ注意が必要です。
実質利回りは現実に少し近い
次に見るのが実質利回りです。
これは家賃収入から、管理費や固定資産税、修繕費などの経費を差し引いて考える数字です。
ここで大事なのは、経費を甘く見ないこと。物件は買った瞬間から、少しずつ古くなります。退去があれば原状回復が必要ですし、設備もいつか壊れます。
だから私は、物件を見る時に「満室ならいける」ではなく、少し悪いことが起きても耐えられるかで見ます。
ROIは自己資金の働き具合
ROIは、入れた自己資金に対してどれくらいリターンがあるかを見る考え方です。
同じ1,000万円の物件でも、全部現金で買う場合と、一部を融資で買う場合では、自己資金の効率が変わります。
ただし、ROIが高いほど良いとも言い切れません。融資を大きく使えば、自己資金に対する効率は高く見えやすいからです。
つまり、ROIは「攻めの強さ」を見る数字ですが、同時に「無理をしていないか」もセットで見る必要があります。
最終的に見るのはキャッシュフロー

不動産賃貸業でいちばん現実的なのは、キャッシュフローです。
家賃が入っても、ローン返済、管理費、修繕積立、税金、保険料などが出ていきます。
その後に残るお金が少なすぎると、退去や修繕が起きた瞬間に苦しくなります。
お風呂の方程式でいうと、不動産は「攻め」です。蛇口をひねるための事業です。だからこそ、蛇口をひねった結果、ちゃんと水が出ているかを見ないといけません。
1つの物件を4つの数字で計算する
例として、物件価格1,500万円、年間家賃120万円、年間経費30万円、年間返済72万円、投入した自己資金300万円と仮定します。
| 見る数字 | この例の計算 | 分かること |
|---|---|---|
| 表面利回り | 120万円÷1,500万円=8% | 広告上の収入と価格の関係 |
| 経費控除後の収益 | 120万円−30万円=90万円 | 返済前に物件が生むお金 |
| 返済後CF | 90万円−72万円=18万円 | 年間で実際に残る現金 |
| 自己資金に対するCF | 18万円÷300万円=6% | 投入した現金の働き方 |
これは説明用の仮定です。実際には購入諸費用、空室、原状回復、大規模修繕、税金などを物件ごとに入れます。また「ROI」の定義は資料によって異なるため、比較するときは分子と分母が同じか確認してください。
物件を見るときの入力表
- [ ] 現在の年間家賃と、退去後の相場家賃
- [ ] 空室を差し引いた想定家賃
- [ ] 管理費、共用部費、水道光熱費
- [ ] 固定資産税、保険料
- [ ] 原状回復、募集広告、日常修繕
- [ ] 今後必要になる大規模修繕
- [ ] 購入諸費用
- [ ] 借入額、金利、期間、年間返済額
- [ ] 購入後も残す生活防衛資金と物件予備費
数字が分からない項目をゼロで置くと、利回りは簡単に高くなります。ゼロではなく「未確認」として残し、買付前に埋めてください。
初心者が避けたい状態

初心者が避けたいのは、次の状態です。
- 満室前提でギリギリ黒字
- 金利上昇で一気に赤字
- 修繕費を見ていない
- 税金を払ったら手元に残らない
- 売りたい時に売れない
この状態だと、不動産が資産ではなく、家計を圧迫する負債になります。
ここで不安を感じる人は、いきなり物件探しに進むより先に、お金の教養講座などで「利回り・リスク・キャッシュフロー」の基本を整理しておくのも手です。不動産投資は知識だけで完結しませんが、数字を読めないまま買うのは危険。最低限、自分で赤字ラインを判断できる状態を作ってから進みましょう。
まとめ
利回りは入口。ROIは自己資金の効率。キャッシュフローは日々の耐久力です。
初心者はまず、派手な数字よりも「悪い時でも手元にお金が残るか」を優先しましょう。
不動産賃貸業は長期戦です。高い利回りより、残る設計。ここが最初の土台です。
今日やることは、気になる物件を1つ選び、上の入力表で返済後キャッシュフローまで計算することです。分からない経費が3つ以上あるなら、今は買付より確認が先です。
※本記事は不動産賃貸業を学ぶための一般的な考え方です。特定の物件購入・利益・融資承認を保証するものではありません。税金・契約・融資は最新情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。


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